act.11 kiss

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キイロックがかかってるから、スマホのデータは開けられない。 遥汰のことはバレてないとは思うが…… 八千代に届けられてるかもしれない……。 八千代にも行かないと……。 ぐるぐると思考する私を見て、遥汰がクスッと笑った。 「また、ぼんやりしてる」 「え? あ、ゴメン……」 「なずなさんって……ひょっとして、妄想癖とかあるの?」 「ないよ!!」 「剥きになるところが怪しいっていうか……やっぱり、可愛いよ、なずなさん」 「もう!!」 苦笑して、遥汰を見ると、遥汰が再び優しげに笑った。 「……うん。貴女はそうやって笑ってる方がいいよ」 「……え?」 「貴女の笑顔……好きだよ」 どうして、彼は―― こうも真っ直ぐなのだろう――。 眩しくて――綺麗で―― どんどん惹かれているのに――哀しくて――。
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