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「はい?」
機械の音が止まり、返事が返ってきた。
「あの……ふーこさん、私……です。蜥蜴……」
「ああ、なずなさん」
通り名を言おうとした私を制するように、ふーこさんが嬉しそうに笑いかけてきた。
作業着を腕捲りしながら、首にかけたタオルで汗をふき、人の良さそうな笑顔でニコニコと笑っている。
誰も思わないだろう。
かつて彼女が組織の中で、殺し屋をやっていて、畏怖の対象であったとは……。
軍手を外しながら、ふーこさんがゆっくり歩いてきた。
足を……
足を庇うように、少し引きずりながら……。
「相変わらず、散らかってるところで悪いわね」
苦笑するふーこさんに向かって、首を横に振る。
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