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「いいの。私がやりたいんだから」
「それに……」と言いながら、私が持ってきたクッキーの箱を軽く持ち上げた。
「クッキー、食べたいから。開けてもいい?」
おどけながら言うふーこさんが微笑ましくて、笑いながら答えた。
「はい」
「じゃ、お茶、煎れるわね?」
「座って」と再びパイプ椅子を指さし、ふーこさんはキッチンの方へ歩いて行った。
パイプ椅子に座りながら、歩いて行くふーこさんの背中を見つめる。
片足を庇うようにして歩くふーこさん――。
組織から抜ける直前に受けた最後の仕事で負った傷が原因だと聞いている。
その原因が――
組織の仕業らしいという噂も……。
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