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「これでわかっただろうが」と佐多が冷たく言い放つ。
「所詮はその程度の関係なんだ。深く踏み込むことすらできない」
“蜥蜴”
優しく――優しく、耳元でそう囁かれ――。
「お遊びも、大概にしとけよ」
佐多の言葉が――突き刺さる。
身体が震える。
こぼれ落ちそうになる涙を必死で堪える。
「来い、蜥蜴」
「待てよ!!」
有無を言わせない佐多の言葉と遥汰の言葉がほぼ同時に重なった。
「遥汰……君……」
大声を出して、佐多の動きを制した遥汰を驚いて見つめる。
身体を震わせ、拳を握りしめ――
遥汰の全身から――“怒り”がにじみ出ているのがわかった。
「貴方の……あんたの言う通りだよ。俺はなずなさんのこと、何も知らない」
「でも!!」と――
佐多を威嚇するように遥汰が叫ぶ。
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