act.14 暴走

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遥汰の背中越しに聞こえたその言葉に―― 堪えていた涙が溢れた。 「遥汰君……。もういい……。ありがとう……。その言葉だけで充分だから……」 遥汰の背中にしがみつく。 嬉しかった――。 遥汰が――そこまで強く想っていてくれたことが嬉しくて――。 巻き込みたくないのに――。 巻き込んじゃダメだってわかっているのに――。 すごく幸せで――。 彼から離れたくない――。 彼と共にありたい――。 そう、願わずにはいられない――。 しがみつく私の手に触れながら、遥汰は佐多の前から動こうとしない。 睨んだまま、対峙している。 遥汰の強い視線を受けながら、佐多が優しげに微笑んだ。 「……若いな」 どこか懐かしむような――そんな響きの声――。
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