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「若くて無謀……。失敗も挫折も敗北も怖れない……」
「俺には……とうの昔になくしてしまった情熱だよ……」と佐多は微笑みながら、遥汰に近づいた。
「俺は……君みたいな若者は好きだよ。なにも怖れない情熱……。そんなものが……そんなものにしかできないことがある……」
「けどな……」
それは一瞬の出来事だった。
佐多の顔から微笑みが消え、冷酷な表情が剥き出しになる。
一瞬で――佐多の周りに尋常じゃない殺気が立ち上る。
「遥汰君!! 離れて!!」
私の叫びとほぼ同時に、遥汰が崩れ落ちるようにして、膝をつき、激しく咳き込んだ。
「……“大人”の“忠告”は素直に聞いとくもんだ。なぁ? 青年?」
遥汰の腹を蹴りあげたその足で――
容赦なく、もう一度遥汰の肩を蹴りつける。
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