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遥汰の身体が真横に跳ばされる。
「遥汰君!!」
あわてて、遥汰に駆け寄ると背後から、冷たい声が浴びせられた。
「どけ、蜥蜴」
振り返ったのと同時に、佐多から激しく突き飛ばされる。
「……きゃ!!」
思わず悲鳴を上げると、遥汰が苦しそうにしながらも、声をあらげて、叫んだ。
「やめろ!!」
佐多が私から遥汰に視線を移す。
「なずなさんに……なずなさんに手を出すな!!」
痛みに耐えながら――苦しそうに息を吐きながら――
遥汰は立ち上がろうと、佐多の足につかみかかる。
その腕を簡単に佐多は払いのけ、踞る遥汰の髪を掴んで自分の方に顔を無理やり向かせた。
「勇ましいなぁ……。青年……」
佐多が楽しそうに遥汰を眺める。
「そんなに好きか? そこまでこの女に惚れ込んだか?」
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