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それは――
まるで宣戦布告のようで――
佐多が遥汰の髪の毛を離す。
ゆっくりと遥汰の身体が崩れ落ちるように倒れて行く。
「遥汰君!!」
遥汰の身体を横から支えると、遥汰が苦笑した。
「俺、カッコ悪いね……」
「そんなこと!!」
遥汰の顔についた汚れを手で拭うように、添えた時だ。
佐多が我慢できないと言った風に、大きな声で笑った。
「遥汰君。君は本当にいい男だな。ますます気に入った!!」
「けどね……」と佐多は遥汰の胸ぐらをつかみ、自分の方に引き寄せた。
「生意気な若僧は……気に食わねぇな」
そうして、容赦なく、遥汰に平手打ちを食らわす。
バシッという嫌な音と同時に、遥汰が再び呻きながら倒れた。
「身分相応……っていう言葉。わかるかな? 遥汰君?」
佐多が遥汰の胸ぐらをつかみ直し、背中から地面に身体ごと叩きつけた。
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