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「なずなさん!!」
惣菜屋での仕事が終わり、店の勝手口から出た私を迎える声が聞こえる。
「遥汰君」
笑いながら、彼――遥汰は私の方に駆け寄ってきた。
あの雨の日以来。
遥汰はこうやって私の帰る時間に待ってくれる。
“少しでも、貴女の側に居たいから”
そう言って、待ってくれる。
駆け寄ってくる遥汰を見ながら苦笑する。
「遥汰君……。こうやって一緒に帰れるのは嬉しいんだけど……無理しなくていいんだからね? 遥汰君……サークルのみんなに誘われたりすることだってあるでしょう?」
「大丈夫だよ、用事がある時はそっちを優先してるし。一昨日だってそうメールしたろ? 今日は一緒に帰れないって」
「うん……。でも……」
いいよどむ私に遥汰が顔を曇らせた。
「あ、なずなさんこそ。迷惑な時はちゃんと言ってよ? 用事がある時は、なずなさんもちゃんと俺に言ってくれなきゃ、ダメだからね?」
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