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熱を伴った痛みが頬にじわりと広がる。
鉄の味が口に広がる。
「蜥蜴……。俺は言ったよな?」
口調は優しく、表情も穏やかなのに――佐多の眼は――
何の感情もこもっていない――冷たい光を宿していた。
「“浮わつくな”……そう言ったはずだよな?」
胸ぐらを掴まれ、引き寄せられる。
平手打ちされた頬を手の甲で拭いながら、佐多の冷たい視線をぐっと睨み付けた。
「……何か言いたそうだな? いいぜ、言い訳なら聞いてやるよ。一緒に来い」
そのまま、歩き出そうと佐多が動いた時だ。
「待てよ!!」
「遥汰君!?」
遥汰が佐多と私の間に入ってきた。
「貴方……なんなんだよ!! いきなりなずなさんに乱暴なことしたりして……」
強く抗議する遥汰に佐多の顔色と表情が変わった。
「ダメ!! 遥汰君、やめて!!」
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