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「君は彼女のことを知ってるのか?」
「え……? 何……知ってるって……どういう意味………」
佐多の言わんとしていることがわからず、遥汰は困惑している。
「彼女の……“蜥蜴”のことをどこまで知っていて、何を知ってるんだ?」
“蜥蜴”――
そう佐多は強調して言った。
堪らない気持ちになる。
覚悟していたはずなのに――
遥汰に知られてしまうだろうことは――いつか全てを話さなくてはいけないことはわかっていたはずなのに――。
“その時”を目の前にして、苦しくて――哀しくて――堪らない――。
佐多から視線を外す私と答えあぐねている遥汰を交互に見据え。
佐多がふんっと鼻で笑った。
「その様子だと……何も知らないようだな……」
勝ち誇ったように佐多は遥汰にそう言った。
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