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「一つ……忠告をしてやる。彼女のことを君がどんな風に思っているか知らないが……この女は君にふさわしい女じゃない」
遥汰は何も言わずに聞いている。
「君は……まだ若いし、いい男だ。君なら、たくさんの女性が好意を寄せてくるだろう。何もこの女一人に執着する必要はない」
佐多の言葉が心に突き刺さる。
何も言えない――言い訳すらできない自分が情けない――。
「君は君にふさわしい女性がいる。そんな女性を見つけられる。だから……彼女のことは諦めろ」
子供に言って聞かせるように、佐多は遥汰に優しく笑いかけ――
そのまま、私の胸ぐらを掴んでいる手を緩めた。
「お前もだ、蜥蜴……。お前と彼では、生きる世界が違いすぎる。お互いに深い場所に踏み込んで……傷つくのはお前だ、蜥蜴……」
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