act.14 暴走

9/28
前へ
/28ページ
次へ
「一つ……忠告をしてやる。彼女のことを君がどんな風に思っているか知らないが……この女は君にふさわしい女じゃない」 遥汰は何も言わずに聞いている。 「君は……まだ若いし、いい男だ。君なら、たくさんの女性が好意を寄せてくるだろう。何もこの女一人に執着する必要はない」 佐多の言葉が心に突き刺さる。 何も言えない――言い訳すらできない自分が情けない――。 「君は君にふさわしい女性がいる。そんな女性を見つけられる。だから……彼女のことは諦めろ」 子供に言って聞かせるように、佐多は遥汰に優しく笑いかけ―― そのまま、私の胸ぐらを掴んでいる手を緩めた。 「お前もだ、蜥蜴……。お前と彼では、生きる世界が違いすぎる。お互いに深い場所に踏み込んで……傷つくのはお前だ、蜥蜴……」
/28ページ

最初のコメントを投稿しよう!

35人が本棚に入れています
本棚に追加