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「舐めときゃ治る」
笑顔でそう言いつつも、痛みからか、少しその表情が歪んだ。
「いや、ちょっとだけ……ヤバい?」
「え!? ちょっ、ちょっと!!」
グラッとカイトの身体が傾き、私にもたれかかってきた。
あわてて、カイトの身体を支える。
「アカン……。俺、チョー……カッコ悪……」
指の隙間から流れる血が、床のカーペットにポタポタと落ちていく。
「あー……これ、ホンマ、ヤバいっていうか……オッサン、クリーニング代ごめん」
流れ落ちる血を見ながら、カイトが軽口を叩く。
「言ってる場合じゃないでしょ!! いつからなの!!」
「わっかんない……。気がついたら……穴、空いてた」
おそらく、流れ弾が当たったのだろうが……。
カイトが私の肩をグッと掴み、私の身体を突き放すようにして立ち上がった。
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