act.16 狂犬の哀

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「てな訳でな……蜥蜴ちゃん、俺を置いて逃げてくれ」 「……は?」 まるでいたずらっ子のような笑顔でカイトは続ける。 「俺……どう考えても足手纏いやん? 俺を置いて逃げんのが正解やぞ?」 「大丈夫」とカイトは笑う。 「言うたやろ? 俺一人でもなんとかなるって。ちゅう訳で……早よ行きや」 トン、と。 軽く小突かれるようにして、肩を叩かれる。 そんなカイトを睨み付けるようにして、ジッと見つめる。 「……なんやねん? 早よ行けや」 カイトの言葉に答えるようにして、苦笑する。 「あんたね……。そういうセリフは身体の震えを止めてから言いなさい」 「は!? 震えてなんか……」 「怖いんでしょ?」 カイトの言葉に被せるようにして、言ってやる。
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