act.16 狂犬の哀

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そこまで言った時―― 新たな刺客たちの気配が感じられた。 「……っ!!」 考えるより先に身体が動いていた。 生き延びる為の本能とでも言うべきか――。 「頭、できるだけ伏せて!! 痛みを逃がすように深呼吸しながら!!」 そのまま、ソファーの後ろにカイトを押しやり―― 入り口に向かって、跳躍した。 なだれ込む男たちの動きがスローモーションのように流れていく。 私の身体に焔が宿る。 銃に―― 弾丸が装填されるように―― 全てを焼き尽くす―― 私の中の“龍”が囁く。 『灰になるまで――燃やし尽くせ――』 ――と。 男たちの首に、腹に、脚に。 連続して、蹴りと掌底を叩きつける。 男たちの繰り出される攻撃をかわしながら、いかに効率よく、ダメージを与えられるか――。 冷静に考えながら、叩き込んでいく。
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