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カイトの言葉を無視して、カイトに聞く。
「立てる? 立てなくても立ってもらうけど」
「なに、その容赦ないの……」
力なく笑うカイトの腕を自分の肩に再び回し、支えるようにして、立ち上がらせる。
「蜥蜴ちゃん……」
カイトが笑いながら、私に話しかけてきた。
「さっき……怖い言うてたやん? 蜥蜴ちゃん?」
“俺もやねん”
それは――まるで泣いているような――頼りなげな声で――
「いつでも……いつだって……怖くてたまらんねん」
「けどな……」と――
泣くような声でカイトは続ける。
「俺には“これ”しか取り柄がないねん……。“ここ”しか居場所がないねん……。だから……」
「わかってる……。わかってるから……」
彼は私の敵なのだから――
見捨てればいい――。
見捨ててしまえばいいのに――。
カイトもそう言ってたのだから、見捨てて逃げればいいのに――
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