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なのに、それが出来ない理由が――わかったような気がした。
彼と私は……似ているのだ……。
闇が怖くて仕方ないのに、闇の中だけが――自分の居場所――。
誰にもなつかない癖に――
誰かに寄りかかり、頼りたくて仕方ない……
狂犬の哀しさ……。
「わかってる……。わかってるから……大丈夫……」
何が大丈夫なのか――。
言っている自分が一番わからない。
けど、言わなければいけないような気がして、「大丈夫だから」とカイトに言いながら、寝室の方に向かった。
倒れている標的とボディーガードたちを尻目にしながら、ベッドのシーツを勢いよく剥ぎ、カイトをベッドの上に横たわらせる。
シーツを切り裂き――
「手、ちょっとだけどけて。応急措置するから」
と言いながら、カイトの腹に切り裂いたシーツを巻いていく。
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