act.16 狂犬の哀

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そのまま、寝室をぐるりと見渡す。 確か…… 佐多から渡された見取り図の資料にあった情報が正しければ…… あった――。 ガラスが嵌め込まれ、開くことのない窓に近づき、外を見る。 三階から見える窓の景色は―― 地上から離れているようで、近い。 下を見ると、ゴミを入れるポリバケツとダストボックスからはみ出た大量のごみ袋が見えた。 あの上にうまいこと乗ることができれば、ダメージはさらに少なくて済む……。 そう思いながら、行動を開始した。 時間はない。 素早く、的確に動かなければ……。 倒れているボディーガードたちの中から銃を拾い上げ、弾が入っているかを確認する。 そのまま、撃鉄を起こし、嵌め込まれた窓ガラスに撃ち込んだ。 一発――二発――三発――。 強化を施されたガラスにヒビが入る。
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