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最初、何が起こったのか――。
把握できなかった。
それでも、後ろ手に縛られた身体を必死に起こし。
散々、なぶられて弄ばれ、火照り、ぼんやりとした意識を奮い立たせ。
なんとか状況を把握する。
わかったのは、敵のはずのカイトが、私の標的に手をだし――
女たちの悲鳴を聞き付けて、乱入してきた――隣の部屋に待機していたボディーガードたちと対峙していることだけだった。
「あー……そら、そうなるわな。来るのは当たり前やな……」
どこか嬉しそうなカイトの呟きと、ボディーガードたちが動いたのは、ほぼ同時だった。
ボディーガードたちが拳銃を構え、カイトを撃ち抜こうと動く。
その動きにあわせて、カイトが腰から、折り畳み式の警棒を引き抜き――
空を切るような音と共に、警棒が生き物のように、唸りを上げた。
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