act.16 狂犬の哀

20/34
前へ
/34ページ
次へ
ヒビの入ったガラスを勢いよく蹴りつける。 ヒビの入ったところから、崩れるようにして、ガラスが割れ、下に落ちていった。 夜風が吹き込み、髪を巻き上げる。 そのままベッドの方に再度向かい、切り裂いて残ったシーツをさらに切り裂いた。 切り裂いたシーツを結びながら、ロープのように長くしていく。 それをベッドの支柱に結びつけ―― 「カイト、立って」 「……? 蜥蜴ちゃん、何をしてんねん?」 痛みに顔をひきつらせながらも、カイトはしっかりとした口調で私に問いかけてきた。 ――おそらく、大丈夫だろう。多分、イケる。 カイトの様子を見ながら、半ば自分に言い聞かせるようにして、カイトを見る。 「カイト、あんた……バンジージャンプ、できる?」 「バンジージャンプって……」 「できなくてもやってもらうけどね」
/34ページ

最初のコメントを投稿しよう!

41人が本棚に入れています
本棚に追加