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「ほい、いっちょあがり」
軽口を叩きながら、男たちを見下ろす。
流れるようなカイトの動きに、呆気にとられ、見つめることしかできない。
敵のはずの男なのに――
一切の無駄を省いたような――
まるで演舞のような、体術に――
気がつけば、見惚れてしまっていた。
カイトがクルリと振り返る。
「なんや、俺のかっこよさに惚れたんか?」
「なっ!?」
見惚れていたことを見透かされたように、カイトが私を見下ろし、ニヤニヤと笑っている。
「何を言ってんのよ!! それより、早く、縄をほどいて!!」
このままではマズイ。
すぐに見張りの連中がここにくるだろう。
まずは自由にならなければ……。
このままでは、何もできないまま、最悪のパターンを迎えることになる。
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