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なのに――
「……あ? なんやねん、その態度。ムッかつくわ~」
警棒を肩に担いだまま、覆い被さるようにしてカイトが近づき、悪態をつきだした。
「人に頼むのにその言い方はないわー、蜥蜴ちゃん。頼み方って……あるでしょ?」
「バカなこと言ってないで、早くして!! このままじゃ、次の見張りがくるから!!」
カイトの態度にイライラしながら、再度強く言うと、カイトがあからさまにため息を吐いた。
「ホンマ、ないわ。このまま置いてったろうかな……。俺は一人でもなんとかなるし? むしろこのままあんたを引き渡した方のが、俺的にはエエし?」
ニヤニヤと笑いながら、カイトが警棒を肩から下ろし、私の胸をつついた。
「……ん!」
「お、顔色が変わったな?」
楽しそうに、警棒で脇腹を優しくなぞられ――。
「あ……っ!!」
「ほら、悶えとらんで、早よ、かわいらしくお願いせんかい。“カイト様、どうかお願いします。縄をほどいてください”って」
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