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紐ベルトの隙間に冷たいものが差し込まれたのがわかる。
ナイフ……。
身体を固くして、身構えていると、ブッという音とともに、手首が解放された。
「ほな、改めて動けるようになったんなら、ケツ巻くって逃げよ……」
カイトが言い終わらないうちに、素早く動き、その頬に拳をおもいっきり叩き込んだ。
「ごふっっ!!」
叫びとも、呻きとも取れるような妙な声を出しながら、カイトが真横にぶっ飛び、顔面を壁に激突させた。
「~~~~~~っ!!!!!」
顔面を両手で押さえ、壁に向かって震えているカイトを冷たく見据え、言ってやる。
「……悶えてないで、さっさと立ったら? 置いて行くわよ?」
私が言い終わるのとほぼ同時に、カイトが勢いよく立ち上がる。
「なんちゅう凶暴な女やねん!! グーで殴るって!! グーで殴るってありえへんやろ!! 百歩譲ってパーやろ!! 平手!! ホンマは譲りたくないけど、平手やろ!? 女が殴るならパシーンやろぉぉ!!」
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