41人が本棚に入れています
本棚に追加
一気にまくし立てるカイトを横目でチラッと見ながら、鼻で笑う。
「……女を言い訳にして、逃げるのは嫌いなんじゃなかったかしら? 女なら、平手うちなんて……固定観念もいいとこだと思うんだけど?」
カイトがグッと言葉を飲み込む。
気持ちがせいせいする。
「先に行くわよ」
何か言いたげなカイトを無視して、寝室から隣の部屋に移動した時だ。
複数の気配を感じた。
廊下から――
素早く近づいて来ている男たちの気配――
銃の安全装置を外す音と、撃鉄を起こす音――。
思わず舌打ちをしながら、カイトの方を向く。
だから早くしろと言ったのに――
そう言わんばかりに睨み付けてやると、カイトも状況を飲み込んだのか、肩をすくめながら、私に答えた。
「まぁ……起こってしまったもんをグダグタ言うてもしゃあないやん。死んだ子の歳を数えるなとも言うしな……」
最初のコメントを投稿しよう!