act.16 狂犬の哀

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「とりあえずな、蜥蜴ちゃん……」とカイトが頬をさすりながら、部屋の真ん中にこれ見よがしに置いてあるソファーに向かって、視線を投げつけた。 「飛び込め!!」 カイトがそう叫び、ソファーの後ろに飛び込んだのと同時に、部屋に男たちがなだれ込んできた。 「……っ!!」 男たちが銃を構える。 そのまま跳躍し、ソファーの後ろに飛び込んだ。 弾丸が頬をかすめ、鈍いような熱さと痛みが走る。 ソファーの後ろに転がり込むと、カイトが私の身体を引き寄せた。 「ちょっ……」 抗議し、離れようとすると、更に力強く抱きしめられ――。 「蜥蜴ちゃん、何を考えてんねん!! こんな緊急時に、なんぼなんでも、俺かてあんたの身体で遊んだりせんわ!! 何を考えてんねん!! 蜥蜴ちゃん、スケベか!!」 「あんたこそ、こんな時になんでそんな返しができるのよ!!」
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