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「……脚が震えてるぞ」
笑いながら言ってやると――
「うるさい」
笑顔を消し、そのまま立ち上がろうとした。
「……チッ。強情っぱりが!!」
脚をもつれさせながらも、立ち上がろうとする蜥蜴の腕を取り、そのまま抱き上げてやった。
「え? え? ちょっと!?」
蜥蜴が焦ったようにして、俺の顔を見る。
「……女将、こいつは俺が連れて行くから、早く準備をしてくれ」
「だから、なんであんたが仕切るか……って、ああ、もう!! わかった!! 座敷のテーブルを片してくるから、来なさい!!」
そのままずんずんと店に入って行く女将をあわてて追いかけるよう、八雲が後をついて行く。
蜥蜴を抱き上げたまま、俺も店に入ろうと動くと、蜥蜴が喧しく口を開いた。
「ちょっと!! 自分で歩けるから下ろしてよ!! 姫抱きなんて……」
「恥ずかしいのか? ふーん……。お前でも恥ずかしいって思うのか……。意外と可愛いとこ、あるじゃないか」
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