act.17 獅子の哀

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二人して謝る。 「まったく……」とぶつぶつ言いながら、八雲は再び治療に取りかかり始めた。 「ほら!! 早く出て!! やっくんにまた怒られたいの!?」 小声で言いながら、千冬女将が俺の腕を引っ張った。 「わかった、わかったから!! 引っ張るな!!」 俺も小声でそう返しながら、千冬女将とともに座敷から外に出た。 部屋の外でため息を吐く。 「八雲のやつ……。結構、迫力あるな……」 「あ? そりゃそうでしょ? 引退したとはいえ、死の天使言われてた男なんだから」 どこか得意気に千冬女将はそう言い―― 「てか、あんたの食事……。めんどくさいわね……。ご飯と塩でいい?……居酒屋八千代オススメメニュー“ご仏前御膳”」 「それ……今、作っただろ? いいわけあるか。茶漬くれ、茶漬でいい」 「偉そうに……。ハイハイ、茶漬ね、茶漬」
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