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二人して謝る。
「まったく……」とぶつぶつ言いながら、八雲は再び治療に取りかかり始めた。
「ほら!! 早く出て!! やっくんにまた怒られたいの!?」
小声で言いながら、千冬女将が俺の腕を引っ張った。
「わかった、わかったから!! 引っ張るな!!」
俺も小声でそう返しながら、千冬女将とともに座敷から外に出た。
部屋の外でため息を吐く。
「八雲のやつ……。結構、迫力あるな……」
「あ? そりゃそうでしょ? 引退したとはいえ、死の天使言われてた男なんだから」
どこか得意気に千冬女将はそう言い――
「てか、あんたの食事……。めんどくさいわね……。ご飯と塩でいい?……居酒屋八千代オススメメニュー“ご仏前御膳”」
「それ……今、作っただろ? いいわけあるか。茶漬くれ、茶漬でいい」
「偉そうに……。ハイハイ、茶漬ね、茶漬」
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