act.17 獅子の哀

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文句を言い、厨房の方へ行く女将の背中を見ながら、灰皿を手元に引き寄せ、カウンターの椅子に座った。 煙草を取り出し―― 火をつける。 紫煙が目の前に揺らめき、それを見つめていると、蜥蜴とのあるやり取りが思い出された。 『ねぇ……。煙草はやめた方がいいんじゃない? 身体に悪いわよ?』 いつだったか、事務所でそう言われたことを――なぜか今、思い出す。 『煩いやっちゃな……。やめれる時にやめるから構うな』 そう、返したんだっけか……。 フッと思い出し、笑いながら、まだ残っている煙草の火を消し、灰皿に捨てた。 「……やぁらしぃ~。思い出し笑い? やぁらしぃ~」 いつの間に帰ってきていたのだろうか。 千冬女将がお盆を手に、冷めた目で俺を眺めていた。 「なんだよ、そりゃ……」 苦笑しながら、女将を見る。
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