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蜥蜴とカイトのやり取りを見ながら、そんなことを考えている自分が情けない。
平静を装いながら、八千代の裏口に車を横付ける。
あらかじめ、八千代の二人には連絡していたこともあり、気配を嗅ぎ付けた八雲と千冬女将がぱたぱたと裏口から出てきた。
運転席から飛び降りるようにして出ると、八雲が怪訝そうに問いかけてきた。
「佐多さん、一体何があったの? 怪我人が二人いるから見てくれって……」
八雲の問いには答えず、後部座席を勢いよく開き、カイトの首根っこを掴む。
「おりろ」
それだけ言って、八雲の方に放り投げると、八雲があわてて、カイトを抱き止めた。
「ちょっと!! カイトは怪我人なんだから、優しく扱いなさいよ!!」
蜥蜴が煩く俺に抗議してきたが、これも無視する。
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