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ギャアギャアと騒がしい八雲と千冬の声に、蜥蜴がおろおろと口を挟んできた。
「あの……二人とも、先にカイトを看て貰ってもいいかな? カイトの怪我……結構ひどくて……」
「あ、ああ……。ごめんね、なっちゃん。オッサンのせいで……」
「俺は関係ねぇだろ」
ポツリと呟くと、蜥蜴がキッと睨み付けてきた。
「あんたは黙ってて!! 余計なことは言わないで!!」
――なんで俺が怒られないといけない?
ムッとした表情をすると、千冬女将が勝ち誇ったように笑った。
「やーいやーい。なっちゃんから怒られてやがんの」
「ちーちゃん……。あんたも黙んなさい」
八雲がため息を吐きながらそう言った時――
八雲に寄りかかっていたカイトが目を覚まし、ゆっくりと身体動かした。
「……ここ、どこやねん?」
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