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『可愛いよ』とまではさすがに言えなかったが、それなりに効果はあったらしい。
「……っ!」
キョトン。とした後、時間差でボンッと破裂する様に顔を真っ赤にさせた。
「なっ、今頃、なに言っ」
「さ。行こう」
「ちょ、洋史さんっ」
動揺した彼女が狼狽えている隙に、その手を引き、歩き出す。
「遅いです!言うの!」
「タイミング逃してさ」
「嘘!いっぱいありましたよ!」
「言って欲しかった?ごめん。気がつかなくて」
「そういうことは口に出さないものです!」
着物を着ている彼女の歩幅に合わせて歩くが、小さな彼女はそれでも俺に追いつかない。
繋いだ手に引かれ、足早に草履を鳴らした。
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