群青2 モノクロ第4話

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「ここ?」 「あ。はい、そうです」 先程彼女が指さした家の前で立ち止まり、振り返って尋ねる。 俺の背中をぼんやり見ていた彼女は、ハッとして慌てて顔を上げた。 「すみません。今、鍵出します」 彼女がトートバッグの中に手を入れて鍵を探している隙に、辺りを見渡す。 猫の額程の可愛らしい庭。 バランス良く植えられている木やプランターに咲く冬の花はよく手入れされ、月明かりに浮かぶ。 時間が時間なので当然ではあるが、二階建ての家の窓には全てカーテンが引かれ、いくつかの窓には光が灯っていた。 『普通』と表現するに相応しい、普通の家。
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