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「ここ?」
「あ。はい、そうです」
先程彼女が指さした家の前で立ち止まり、振り返って尋ねる。
俺の背中をぼんやり見ていた彼女は、ハッとして慌てて顔を上げた。
「すみません。今、鍵出します」
彼女がトートバッグの中に手を入れて鍵を探している隙に、辺りを見渡す。
猫の額程の可愛らしい庭。
バランス良く植えられている木やプランターに咲く冬の花はよく手入れされ、月明かりに浮かぶ。
時間が時間なので当然ではあるが、二階建ての家の窓には全てカーテンが引かれ、いくつかの窓には光が灯っていた。
『普通』と表現するに相応しい、普通の家。
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