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今日に限ってよく動く彼女の唇を親指と人さし指で摘み、グッと顔を寄せて離す。
柔らかくふっくらとした唇がぐにゃりと潰れ、丸い瞳が更に丸くなった。
「やめたきゃ勝手にやめればいいけど、俺に面倒かけないでくれるかな」
人んち。しかも仕事先。上司の家で何をやってるんだと思う。
できればこの責任は彼女に押し付けたい。
そう思ってしまうくらいイライラしていた。
「部下のままでいいならそれに徹しなよ。何かと理由付けてやめるのは簡単だし、切り替えできる君なら上手くやれるよね?」
丸い瞳が揺らぐ。
摘んだ唇にキュッと力が入るのが分かった。
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