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頭頂部から左側頭部に手を移動させながら、短くなった彼女の髪にするりと指を通し、はらりと落とした。
恥ずかしがっている様な、困っている様な表情。
「違った?」
触れる物を失った指先を見つめ、尋ねる。
「……」
彼女からの返答はない。
「『環ちゃん』から言われたしね」
ふ。と、口元に笑みを浮かべる。
「やめるんでしょ?」
こういう所が、『ずるい』と言われる所以だろうか。
悔しそうに俺を見上げる彼女の目が、そう言っているように見えた。
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