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何故、彼女にこんな話をしてるんだろう。
「ね?」
「……」
彼女の返答を急かすが、首を縦にも横にも振らない。
『やめる』と言った覚悟は中途半端なものだったんだろう。そんな様に感じた。
自分が自分に感じた疑問はひとまず後にし、彼女の唇から手を離す。
「もう少ししたら家まで送ります」
「いりません」
「落ち着いたら下に降りてきて下さい」
「……」
今までの女だったら、ここでキスのひとつやふたつ、更にはその先までしてやれば機嫌は直っていたかもしれない。
けれど、彼女は違う。
「幸先生にはこれっぽっちも未練はありません」
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