1章

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選考会議では、誰を選ぶのかということに焦点をあげて選んでいく。 「岡田さん、滝本さんがあの俳優の聖夜(のえる)の弟というのは本当ですか?」 「宮田さん、本当ですよ。実は学生の時にモデルの端くれをやっていて、そのときノエルは俺の同期なんですよ。バイトなのでそんな長くは続けてないですが。それより、誰を選ぶか、です。俺は滝本さん良かったと思いますよ。あとは、鈴木さん、榎本さん、一ノ瀬さんとか…。ほかはどうですか?」 「岡田さんがおっしゃる方は採用でいいと思いますよ。私は木田さん、元部さんとか良かったと思います」 今話しているのは、人事部の課長である。 「俺のとこは目立ったやつはいなかったな。でも、岸田ってやつはいい目をしていた。」 この人は営業の方の部長だ。やり手の営業マンらしい。 「私のところは特にいませんでした。ありきたりな文章ばかりでつまらなかったです。強いて言うなら、内野さん、三谷原さん、菊野さんかしらね。今年は本当にありきたりな文章ばかりを羅列させていて本当につまらなかったわ。あ、岡田くん、さっきの滝本さんって子、いい目をしていて内容も良かったと聞いたわ」 今のは総務の課長だ。 「そうなんです。俺がちょっと嫌な質問したにも関わらず、顔色変えずにすかさず答えましたよ。あいつはいい人材だ。確か、うちの小林の後輩だったと思います。」 どうしてだか、滝本のあの視線が頭から離れない。「あたしもそんな子面接したかったわ~。」 そんなこんなで面接の会議は終わり、新入社員は決まった。
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