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「ほら、言うじゃない?」と彼は続ける。
「喧嘩慣れしてる強い人って、すぐにバレないように、顔は避けて、身体の方にダメージを与えるって。“顔はたいしたことないのにねぇ”っておじいちゃん先生が」
わざとおどけるような仕草で彼は説明する。
「……ごめんなさい」
それだけを言うのが精一杯で――
「なずなさんのせいじゃないから。てか、俺……情けないよな。ボコボコにされっぱなしで、反撃一つできなくて……。あの人の言う通りなんだよね……」
“自分の身すら守れない男が、惚れた女を守りたい。身分不相応だって”
寂しそうに呟く遥汰に反論する。
「違う!! そんなこと……。だって……貴方は……」
私にいろんなものをくれたじゃない……。
優しさとか……穏やかな時間とか……
たくさんの“光”をくれたから……。
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