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そう伝えようとして、言葉を飲み込む。
今さら、彼に何を伝えようと言うのか――
私にそんな資格なんてない……。
一度だけではなく。二度、私は遥汰の優しさを突き放した。
愛を拒んだ。
そんな私にもう一度、光をくれようとしている遥汰に……すがる資格なんてない……。
「ねぇ、なずなさん……」
黙ったままの私に遥汰が優しく微笑む。
そんな風に……
優しく笑わないで……。
私なんかに優しく笑わないでよ……。
辛くなるから……。
遥汰から視線を外す。
「なずなさん……。また、逃げるの?」
それは私にまっすぐに向かってくる言葉で――
「俺は逃げないから。逃げたくない。だって……貴女のことが好きだから」
“貴女のことを……愛していきたいから”
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