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「何それ? 俺を諦めさせるためなら……質が悪いよ? そうやってはぐらかそうって言うんなら……」
「はぐらかしてないわよ。私は真面目に言ってる」
冷たく笑いながらそう言う私とは対照的に、遥汰から笑顔が消えた。
「……やっぱり、そうよね? 私のことなんて信じられないんでしょう? だから、はぐらかしてるって言うんだよね?」
「無理よ……」と笑いながら、遥汰の横を通り抜ける。
遥汰の表情は動かない。
「無理なのよ。言ったでしょう? 所詮、私と貴方は住む世界が違い過ぎるって」
背中越しに遥汰にそう告げて――
「さようなら。貴方は貴方にふさわしい人を見つけて。貴方なら……もっと素敵な女性が見つかると思うから」
そのまま歩き出そうとした時――
「待てよ!!」
強く呼び止められ――痛いほどに強く腕を掴まれた。
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