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「ねぇ、遥汰君……。今から……大丈夫かな?」
「え?」
「うちに来て欲しいの。だから……時間大丈夫かなって」
「え? え!? うちって……なずなさんのうち!?」
「そうよ」
「ちょ、ちょっと待ってよ!? うちって……そんな簡単に……」
しどろもどろになりながら焦っている遥汰を見て、思わず吹き出す。
「何を考えてるのよ。全て話したいから、うちに来てってこと。ここじゃ話せないでしょ?」
そう言うと、遥汰が顔を真っ赤にしながら反論した。
「いや、あの言い方だと……男は勘違いするよ!? てか、なずなさん……わざとやってるでしょ?」
「さあ?」
「あ、絶対、わざとだ!!」
はぐらかすように笑う私と、それに剥きになる遥汰――
かけがえのない時間が戻ってきたようで――
それでも――“全て”を話した後のことが不安で――
複雑な思いを抱えたまま、遥汰と帰路の道を行くのだった――
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