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何もかも、お見通しと言わんばかりの佐和さんに「はぁ……」と曖昧に返事を返す。
「とにかく、早く仲直り。ね? こっちも困るのよ。常連さんに逃げられて、なずなさんはミスの連発で仕事の能率下がって……」
「あ。そっちの心配ですか」
「当たり前です!! もちろん、なずなさんの心配もしてますけど」
佐和さんが笑いながら答え、それにつられるようにして私も笑う。
「ありがとうございます。コンロの上、片しますね」
「ええ。あっ……と。卸業者さんが来ちゃったみたい。なずなさん、お客さんが来たら呼んでくださいね」
そう言いながら、佐和さんは私から離れて行った。
一人でコンロの上に吹きこぼれたお湯を拭きながら、小さなため息を吐く。
私……。ダメだなぁ……。
予想以上に遥汰と別れたことが響いている。
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