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「……久しぶり」
はにかんだように笑う顔に――夕日が照らされて――
それは哀しいほどに綺麗な笑顔で……
「よ……うた……君」
かすれたような声しか出てこない。
声を出せば。
そのまま、泣き叫んでしまいそうで……
遥汰にすがってしまいそうで……
その綺麗な笑顔を見つめることしかできない……。
「元気だった?」
優しい声で聞いてくる。
遥汰の頬――唇の横に貼られたバンドエイドが痛々しくて――
「あ、これ?」
照れたようにバンドエイドに触り、遥汰が説明する。
「大丈夫。顔はたいしたことないから」
「……顔?」
思わず聞き返すと、遥汰は照れたまま、頭をかいた。
「あの人……。喧嘩慣れしてるの? 病院に行ったら言われた。“肋骨にひびが入ってるよ。誰と喧嘩したの?”って」
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