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「サラ……マンダー……」
かすれたような遥汰の声に、少しだけ振り返りながら、微笑む。
「私はね……。ある組織……て言うより、佐多に拾われた女なの」
「佐多って……」
「遥汰君に因縁ふっかけて、怪我させたあの男。佐多亨っていうの」
遥汰の視線が背中に注がれる――。
熱い――。
背中の蜥蜴が――燃えるように熱かった。
「私の両親はね、私が幼い頃、事故で亡くなったの。両親は……周囲の反対を押し切って結婚してたから、事故の後、残された私は邪魔者扱いで……。親戚とか遠縁の家をたらい回しにされて、最終的には施設に追いやられた」
どこにでもあるような、不幸な生い立ち。
今どき、ドラマでも使わないだろう自分の境遇を遥汰に淡々と聞かせる。
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