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「……最低の男だな」
吐き捨てるようにそう言った遥汰に、苦笑する。
「でも……その最低の男が好きだった。いや……好きって勘違いしてた。だって、本当に優しくて、私に温かさをくれた人だったから……。良い人だったよ?」
ただ、その良い人は――
他の女にも優しくて良い人で――
自分自身にも優しい人だっただけの話――。
自分に都合の良い女には、表面上の優しさを与えてくれるだけの男で、その優しさを愛と勘違いして――都合よく、手のひらの上で転がされていたのが……私。
「なずなさんの方が優しいよ。そんな最低な男を庇うみたいに言ってさ……」
「少し妬ける」――と。
聞こえるか聞こえないかぐらいの声で呟く遥汰が微笑ましかった。
「優しくなんかないよ?」
だって……
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