act.19 契り

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「警察に電話を入れたのは、私が刺した男。自分のことは棚上げにして、逆恨みだの逆ギれだの喚いてたのは覚えてる。もう……その時はどうでもいいやって気持ちでいっぱいだったんだけどね」 愛し愛されてると思っていた男は、実は勘違いのまやかしで―― そんな男を刺して、一生を棒に降ってしまったバカな私―― もう何もかも……どうでもよかった。 「情状酌量とか、生い立ち云々とかで思ったより罪は軽かったけど、そんなことどうでもいいやって感じで……自暴自棄になってた」 「そこに……あの男が来たのよ」――と、遥汰に囁くようにして告げた。 「……あの男」 「佐多よ」 黄昏から――夜を迎えようとしている逢魔の闇が、遥汰の言葉と表情に影を落とした。
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