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多分、私の表情は……
人を殺める時の“それ”になっていたのだろう。
遥汰が息を飲み、身を引いた。
「名前を与えられたわ。“蜥蜴”っていう……」
「蜥蜴……」
遥汰が、再び視線を背中の蜥蜴に写した。
「私はね……。私を拾ってくれた佐多のことを好きになってた。私の中に眠る“女”を引き出してくれた佐多を愛した……。佐多に認められたくて、愛して貰いたくて……。どんなことにも耐えて、要求に答えた」
結局……。
佐多は、私の望む愛を返してはくれなかったけど――。
「がむしゃらに、佐多の要求に答えているうちに……気がついたら、闇の世界で畏怖の対象として呼ばれるようになってた」
“火蜥蜴(サラマンダー)”
全てを焼き尽くす、龍の出来損ない――。
そんな“モノ”になってしまっていた。
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