act.19 契り

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多分、私の表情は…… 人を殺める時の“それ”になっていたのだろう。 遥汰が息を飲み、身を引いた。 「名前を与えられたわ。“蜥蜴”っていう……」 「蜥蜴……」 遥汰が、再び視線を背中の蜥蜴に写した。 「私はね……。私を拾ってくれた佐多のことを好きになってた。私の中に眠る“女”を引き出してくれた佐多を愛した……。佐多に認められたくて、愛して貰いたくて……。どんなことにも耐えて、要求に答えた」 結局……。 佐多は、私の望む愛を返してはくれなかったけど――。 「がむしゃらに、佐多の要求に答えているうちに……気がついたら、闇の世界で畏怖の対象として呼ばれるようになってた」 “火蜥蜴(サラマンダー)” 全てを焼き尽くす、龍の出来損ない――。 そんな“モノ”になってしまっていた。
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