第1章 ここに来て一緒に

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甘い声を出して脚を大きく開いて腰を動かしている。はっきり言ってエロい。 でも、合意だとしても。これ、やばくないって言えるかな。 さっきから引っかかってはいたのだが、ペンライトで一瞬照らされた彼女の顔があどけなく、かなり若く見えた。胸は大きいけど、小柄で華奢だ。もしかして高校生…とか、未成年かも。 自暴自棄の女子高生による無茶な援交、というイメージが頭をよぎる。それだったらこんなことしてる場合じゃない。速攻警察だ。 わたしはやっと頭が動き始めたらしい。慌ててバッグからスマホを取り出そうとした。大体、このシチュエーション。例えばAVか何かの撮影の可能性だってあるけど(見たとこカメラの類は見当たらないが)、それだってこんな住宅近くの道端で人払いもせずに撮影してたら違法なはず。立派に通報ものだ。 或いは、本当に合意の上で彼らが愉しんでいたとしよう。業務でもなく単にプライベートで。それでも、ひと気のあるこんな場所でセックスしてたら、公衆の面前で猥褻行為をしたとか何とかで違法とみなされるんじゃないの? つまり、強姦では勿論、援交でも撮影でも単に愉しむ人たちでも、結論は同じ、百十番ってこと。 こんなことにわたしだって関わりたくない。でも、このまま曖昧にして立ち去って、薄らいだ記憶の中でやっぱりあれは強姦だったんじゃ…とか思い続けるよりはずっとマシだ。 と、その時だった。彼女の欲情に潤んだような目線が彷徨い、植え込みのこちら側に立つわたしとかっちり目が合った。 わたしはスマホを手にしたまま固まった。 どうしよう、なんか言われる?『助けて』?…それとも、『邪魔しないで。向こう行って』? 予想外に、彼女はにっこり微笑んだように見えた。場違いな、花のように幸せそうなその表情。わたしに笑いかけたんだ、と思い当たった時にはもう彼女は男たちに向き直っていて、続きが始まっていた。 「…ねぇ、お願い。誰か挿れて、早く。…絶対、すごく気持ちよくしてあげるから。…ね?…ここに…」 誘うように、見せつけるように腰を動かしたんだと思う。男の一人が掠れた声を出して、動いた。 「ああ、俺もう、我慢できない」 自分の前のファスナーを下ろし、ごそごそ何かかがんでしていたと思うと、彼女の正面からいきなり覆い被さった。彼女がのけぞり、嬌声をあげる。 「ああっ、大きい。…いいよぉ、すごい…あぁん、もっとぉ…」
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