第1章 ここに来て一緒に

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裸の身体を晒したまま、切なく身を捩ってる彼女の方を見遣った。そりゃごく普通の堅気の女は全員清楚に見えるでしょうよ。 と、そこでハッとした。あの男たち、女の子を裸のまま放置していった。なんて奴らだ。人間の屑か。 わたしは慌てて彼女に駆け寄った。関わりたくない気持ちが強いが、まさかこのままってわけにもいかない。せめて縛られてる手だけでも解かないと。 「大丈夫?…本当に警察、呼ばなくていいの?」 どう見ても状況は犯罪の現場にしか見えない。あの男たちはこの事態を全部この子のせいだと押しつけていったけど、女の子を全裸で縛ったまま置いていくような連中が本当のことを言ってるか信用ならないし。 彼女はまだ欲情に浮かされたような目でわたしを見返した。 「ああ…、どうして邪魔したのぉ…。もっといきたかった…」 「何言ってるんですか」 わたしは心底呆れて、もう訊かないことにした。しっかりいってたじゃん、ちゃんと。 わたしに身体を起こされて、後手に縛られた手を解かれながら彼女は切なそうに不満を訴えた。 「だって、何回もいきたいから人数を揃えたのに。三人で二回ずつやられたら何とか満足できると思って…。あぁ、こんな中途半端で。つらい…責任とって」 あろうことか、自由になったその手で大きく開いた脚の間の部分を指先を使って拡げて見せた。 「慰めてよ…、指か口でいいから」 「ないです、絶対。早く服着て、お願いだから」 わたしは慌てて辺りに乱雑に散乱していた彼女のらしき服を拾って被せた。こんな場面を通りすがりの人に見られたら。警察に通報してくれるようなまともな人ならいいけど、変な気を起こす男が寄ってこないとも限らない。巻き添えを食うのは真っ平ご免だ。 「とにかくすぐ服着てくれないと、もう速攻通報します。ここに強姦されたらしき裸の女の子がいますよって。てか、本当、警察に連絡したいんだけど。あなた未成年じゃないの?」 「え、失礼ですね。ちゃんと成人してます」 彼女はさすがに渋々服を身につけながら口を尖らせた。そりゃ本人はそう言うだろうけど。女子高生と思って見ればそう見えなくもない、やっぱり。 その様子を見てふと気がつき、口を挟む。 「ちょっと待って。…下着は?」 「ああ、多分、持ち去られましたね。よくあるんですよ、こういう時って」 あっさり言って上も下も下着なしでジーンズと長袖Tシャツを直に身につける。
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