act.23 罠

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「そうだ。お前も蜥蜴も……組織になくてはならない人材だ。なのに、お前たちにはその自覚が無さすぎる」 「なんだよ……。今度は説教かよ……。ホント、勘弁してくれ……」 銀狼が心底うんざりすると言った感じで、二本目の煙草に火を着けようとした。 「その蜥蜴がな。足を洗いたいと言っている」 銀狼の手が止まった。 「なずなちゃんが?」 「ああ、組織を抜けて、普通の女になって暮らしたいんだとよ」 「結構なことじゃないか。女の幸せを求める……。俺は賛成だね。女性はすべからく、幸せに。優しくたおやかに」 「ふん、二股も三股もかけて女泣かす男のセリフとは思えんな……」 「あ? 俺はフェミニストなだけだから。良い女が目の前にいたら……口説くのが礼儀だろ?」 「ぬかせ」 皮肉と皮肉の応酬――。
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