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「そうだ。お前も蜥蜴も……組織になくてはならない人材だ。なのに、お前たちにはその自覚が無さすぎる」
「なんだよ……。今度は説教かよ……。ホント、勘弁してくれ……」
銀狼が心底うんざりすると言った感じで、二本目の煙草に火を着けようとした。
「その蜥蜴がな。足を洗いたいと言っている」
銀狼の手が止まった。
「なずなちゃんが?」
「ああ、組織を抜けて、普通の女になって暮らしたいんだとよ」
「結構なことじゃないか。女の幸せを求める……。俺は賛成だね。女性はすべからく、幸せに。優しくたおやかに」
「ふん、二股も三股もかけて女泣かす男のセリフとは思えんな……」
「あ? 俺はフェミニストなだけだから。良い女が目の前にいたら……口説くのが礼儀だろ?」
「ぬかせ」
皮肉と皮肉の応酬――。
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