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「言っとくが」
銀狼の言葉を遮るようにして、佐多が笑った。
「何度も言うが、お前に拒否権はない。どうしても拒否するのであれば、俺が言った意見を撤回させるだけの意見を上の連中に言ってくるんだな」
それは不可能に近い――。
わかるだけに、銀狼は黙るしかない。
「……いいぜ、引き受けてやる。てか、引き受けるしかないからな」
「その変わり」と銀狼がニヤリと笑う。
「しくじっても文句は言うなよ。気乗りしない仕事を俺に押し付けたサタタが悪いんだからな」
佐多の返事も聞かず、銀狼が席を立つ。
「どこに行くんだ?」
銀狼の背中に佐多が問う。
「帰るの。腹の真っ黒いオッサンと味もわからんような高い飯食うぐらいなら、適当なとこで安酒飲んで、綺麗なお姉ちゃん探してた方のが有意義だから」
「あ、それと」と銀狼が振り返る。
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